「み、美和さん! 今の人、江波 雪哉ですよね?!」
美和さんはウンウンとうなずきつつも、思いきり目を見開いて頬を紅潮させている私の姿がおかしいのか、お腹を抱えて笑い出した。
彼女の予想通りの反応をしてしまったのが若干悔しい。
今、社長室にいるのは超人気俳優の江波 雪哉で間違いないようだ。
昨年公開された映画の演技が認められ、新人賞を総なめした超有名人ではないか。
現在、ラブストーリーの配役は彼しかいないと、女子高生から主婦層まで幅広く支持を得ている。
あの爽やかな笑みは、もはや乙女の心臓を打ち抜く凶器だ。
「虹磨さんと友達なのよ」
イケメンが出入りすると言っていたのは、これだったのか。
見たらビックリすると美和さんは豪語していたが、それ以上に不意打ちをくらったのもあって卒倒しそう。
「とてつもなく、オ、オーラが出てました!」
「絢音ちゃん、落ち着いて」
虹磨さんと雪哉さんがいる社長室は、その空間全体が光に包まれているような感じだった。
超絶なイケメンがふたり並ぶとすさまじい威力だ。



