「すごいすごいすごい!!」


 うれしそうな顔をして、ぴょんぴょんと跳ねたのだ。

 しかも、彼女がすごいと褒めたのは器材に対してではなく、俺のことみたいで。


「虹磨さんが“Xinobu”? 信じられない! え、やだ、夢ですか?」

「落ち着けよ」

「本当に、心から虹磨さんを尊敬します!!」


 まずい……そんな透き通った瞳で見つめられると、俺はどんどん余裕を失くしていくんだが。
 絢音はそんな俺の事情なんて全然わかっていないんだろうな。


「夢じゃない」


 まだまだ飛び跳ねそうな絢音を捕まえ、頭に手を置いて頬まで滑らせる。
 そのまま彼女の柔らかい肌をもてあそべば、急激に熱を帯びて赤く染まった。

 かつての元カノの中にも、俺の作曲の才能を褒めてくれる子はいた。
 だけど今までの誰よりも、絢音が喜んで尊敬してくれるのがこの上なくうれしいなんて。

 俺はこの子にどれほど溺れているのか。