「俺の家に呼べば……話のきっかけにはなるか?」


 堤となんの話をしているかと言えば、俺が大和に楽曲を提供している件だ。
 実はまだ絢音に伝えておらず、それを堤に早く話せと説教されている。

 俺が“Xinobu”だというのはトップシークレットなのだが、絢音には話しても大丈夫だろう。

 絢音を悲しませたくないし、自分の恋人に話せないのは俺もさみしい。

 俺の家には、作曲をするための設備を整えた部屋がある。
 そこを見せた上で、自然と俺の正体を明かすことができたらと考えているところだ。


「え、もしかして……絢音ちゃんを一度も家に呼んでないんですか?」

「ん……まぁ……」


 苦笑いの笑みを浮かべる俺に対し、堤は信じられないとばかりに目を見開いている。


「忙しかったから」

「そんなの言い訳になりませんよ! うわぁ、虹磨さんらしくなーい」

「人を野獣みたいに言うな!」