俺と堤は特殊な関係だ。
互いに恋愛感情は皆無なので、男と女ではない。
だからといって男同士みたいな感覚でもないので、どうにも表現しづらいのだが。
親しくなった今も、アイツを“美和”と下の名前では呼ばない。周囲に誤解させないためだ。
頑なに“堤”という呼び方を変えていないのに、どうしても俺と堤は男女の中を疑われがちで参る。
堤もそれにはさぞうんざりしてきただろう。
アイツに彼氏ができないのは、半分は俺のせいかもしれないと、そこは申し訳なく思っている。
「ちょっと、いつまで絢音ちゃんに隠しておく気ですか?」
絢音と気持ちが通じ合って、しばらくしたある日。
スタッフが全員帰ったあとの社内で、堤があきれた顔をして俺に絡んでくる。
言い方がぞんざいなのはいつものことだ。
でも俺と堤はこんな感じがちょうどいい。
「別に隠してるわけじゃない。言いそびれてるだけだ」
「ずっとそんな調子だと、わざと隠していたとみなされますよ? 絢音ちゃんを不安にさせたら許しませんから!」
「はぁ……まるで小姑だな」
なにか言いました? と堤の目が訴えている。ほんと、俺に対しては容赦がない。
互いに恋愛感情は皆無なので、男と女ではない。
だからといって男同士みたいな感覚でもないので、どうにも表現しづらいのだが。
親しくなった今も、アイツを“美和”と下の名前では呼ばない。周囲に誤解させないためだ。
頑なに“堤”という呼び方を変えていないのに、どうしても俺と堤は男女の中を疑われがちで参る。
堤もそれにはさぞうんざりしてきただろう。
アイツに彼氏ができないのは、半分は俺のせいかもしれないと、そこは申し訳なく思っている。
「ちょっと、いつまで絢音ちゃんに隠しておく気ですか?」
絢音と気持ちが通じ合って、しばらくしたある日。
スタッフが全員帰ったあとの社内で、堤があきれた顔をして俺に絡んでくる。
言い方がぞんざいなのはいつものことだ。
でも俺と堤はこんな感じがちょうどいい。
「別に隠してるわけじゃない。言いそびれてるだけだ」
「ずっとそんな調子だと、わざと隠していたとみなされますよ? 絢音ちゃんを不安にさせたら許しませんから!」
「はぁ……まるで小姑だな」
なにか言いました? と堤の目が訴えている。ほんと、俺に対しては容赦がない。



