腕組みをしながら俺に視線を送る大和に対し、俺は少し考えた末に首を横に振った。
あの動画は絢音か? なんて、本人に直接尋ねるのはためらわれる。
「もういいんだ。お前にも無理言って悪かったな」
「なんでだよ。あんなに探してたのに。はっきり聞かなきゃわからないだろ? 俺なら歌声を聞けば判断はつくけど……」
大和は目を見開いて驚いていた。いつも冷静な大和にしては珍しい。
「俺が動画の人物を探してることを、絢音はわかってる。なのに自分だと言わないのは、知られたくないからだろう」
「でも……」
「いいんだ。俺は絢音の嫌がることはしたくない。なんでかわからないけど……アイツは俺の中で特別なんだ」
なぜこんな胸の内を大和に話しているのか、自分でも意味不明だ。
だけど全部吐き出してしまいたい。正直に全部言えば、すっきりするのではないか、と。
「堤の後ろをくっついてまわってる姿とか、なんせ全部がかわいくてたまらないんだ。甘やかしたいし、絢音にはなんでもしてやりたい。アイツの純粋さに触れるたびにそんなふうに思う」
「そういうの、なんて言うか知ってる?」



