「ふふふ。いいね、呼び捨てって新鮮。うれしくてぽっぺにチューしちゃいそう!」


 あははと笑いながら冗談を言ったものの、セクハラ発言だなと反省した。だって、あまりにも彼がかわいかったのだ。


「それは……やめてください」

「そうだよね。ごめん」

「冗談でも頬にキスなんかされたら、俺は絶対に唇にしちゃいますから」


 恥ずかしさからか、彼はずっと前を向いていたのに、急に立ち止まって私を見下ろす。

 徹平くんが本当にキスするかどうか、試してみようか。
 いや、彼は実行してくるだろうな。ここが公衆の面前だとしても。

 あぁ、ヤバい。私はこういうタイプに弱かったのだと、このときあらためて自覚した。


「美和さん、俺、焦ってないんで。連絡先の交換からよろしくお願いします!」


 うわぁ、かわいい。そう思うのと同時に、胸がキュンと高鳴った。

 仔犬系男子……恐るべしだ。





―― Fin.