わけあってイケメン好きをやめました

 それから三年が経ち、私は二十六歳になった。
 要くんとは違う部署だったので会社で顔を合わせることもなく、私は楽しく仕事をしていた。
 そんなある日のこと、私は虹磨さんから呼び出された。


「堤に相談があるんだよ」

「相談? そんなの今までしたことないでしょう? なんか気味が悪いです」


 カフェでコーヒーを飲みながら、私がいつものように軽口をたたけば、虹磨さんはあきれた顔をして笑った。


「俺、会社を作ろうと思って」

「え……真面目に言ってます?」

「もちろん」


 私が知る虹磨さんは、会社を経営するイメージではない。
 クリエイティブな仕事がしたいから、大和のもとで働いているのではないのだろうか。


「いったいなんの仕事をするつもりなんです? ていうか、今だってどんな仕事をしてるのか私は詳しくは知りませんけど……」