胸を張って大きなことを言ったものの、どこをどう探せばいいかなんてわからなかった。


とにかくB組へ出向いてぬいぐるみがありそうな場所を片っ端から調べて行く。


けれど人の机の中やロッカーの中を勝手に探すわけにはいかないから、捜索は難航した。


「やっぱり手当り次第じゃダメなんだよ。ちゃんと推理しないと」


次の休憩時間にジュンイチは疲れた声で言った。


「推理するっていっても、どうやって?」


カツユキに言われてジュンイチはメモ帳と取り出した。


西川さんの証言をもう一度しっかりと確認していく。


「まず、西川さんがぬいぐるみがなくなっていることに気がついたのは、体育の授業の後だった。それまでは確かにぬいぐるみはついていた」


「そして、体育の授業を見学している生徒はいなかった」


カツユキがジュンイチの後に続けて言う。


「それでもトイレとか言って教室から出られる生徒はいくらでもいるよな」


そうなると、3時間目の授業中にトイレや保健室へ行った生徒が全員容疑者ということになってくる。


「でも、ぬいぐるみを盗むためには、ぬいぐるみがついていることを知っていないといけない。そう考えると犯人は絞られるんじゃないか?」


ジュンイチの言葉に2人は同時に「あっ」と声を上げた。