「今日の3時間目。C組との合同体育だったよ」


「その中で見学の生徒はいた?」


「ううん。今日はいなかったんじゃないかな? 学校を休んでいた子はいるみたいだけれど」


西川さんは必死に記憶を手繰り寄せて答える。


「だとしたら、B組にもC組にも犯人はいないことになる。授業中にB組に入ってぬいぐるみを盗むことができる人物って誰だ?」


カツユキは腕組みをして考え込んだ。


「普通に考えたら女子生徒だよな。男子がぬいぐるみを盗むとは考えにくいし」


テツヤも一生懸命に頭を働かせて考える。


でも、授業中に教室に忍び込んでまで盗みたいものなんだろうか?


男であるテツヤにはピンと来ない。


「あのぬいぐるみは本当に大切なものなの。ボロボロになっても何度も直してきたの」


西川さんの目尻には涙が光っている。


それを見るとなんとしてもぬいぐるみを見つけてあげなきゃいけない、使命感に駆られる。


「わかった。犯人は絶対に見つけ出す。だから西川さんは安心して」


テツヤは胸をはってそう言ったのだった。