吹奏楽を始めたころには全然気にならなかったニナの存在が、最近確かに気になり始めていたところだったのだ。


「それは無理だよ」


笑い飛ばすようにそう言ったニナに少しだけ安心する。


ニナもまだアサミの方が上手だと思っている証拠だ。


だけどうかうかしていられない。


少し手を抜いている間に追い越されてしまう可能性は十分にある。


ニナの練習を見ていて熱が入ったアサミは再び自分の練習に戻ったのだった。