どうする?


どうすればいい?


こんなときに本物の探偵なら、どう切り抜ける……!?


テツヤは壁に手をついてどうにか立ち上がる。


そしてジュンイチへ視線を向けた。


ジュンイチは真っ青な顔をこちらへ向けて、カバンは床に落ちていた。


テツヤはそのカバンについているストラップへ視線を向けた。


『防犯ブザーだよ。何かあったときのために持ってきた』


教室内でした会話を思い出す。


あの楕円形のストラップは防犯ブザーだ。


きっと家の中でスイッチを入れても外まで聞こえるような大きな音がする。


「おい、どうするかって聞いってんだよ!」


男が怒鳴り声を上げると同時に、ジュンイチのカバンを蹴り上げた。


カバンは高く宙を舞って、ボスンッと音を立ててテツヤの前に落下してきた。


手を伸ばせばすぐにでも届く位置だ。


だけど変に動けば男を刺激してしまい、ジュンイチを斬りつけるかもしれない。