ドリンクがなくても人の役に立つことはできる。


探偵としての意地とプライド、それに今まで勝ってきた経験がテツヤに自信をもたせていた。


自分は将来本物の探偵になる。


ちゃんと事務所を開設して、1人か2人従業員も雇うんだ。


街で一番信用できる探偵事務所として有名になることが、テツヤの目標だった。


「今日も街の見回りに行くのか?」


ドリンクの飲み干してしまった翌日、ジュンイチがテツヤにそう声をかけてきた。


「当たり前だろ。俺たち放課後探偵団なんだから」


テツヤはすでに見回りに行く気まんまんで準備を進めている。


「1人じゃ危ない。俺も一緒に行く」


そう言うジュンイチは手に見慣れないストラップを持っていた。


楕円形で、首にかけられるような長い紐がついている。


ジュンイチはそれを自分のカバンにくっつけはじめた。


「それなんだよ?」


「防犯ブザーだよ。何かあったときのために持ってきた」


「おいおい、冗談だろ?」


言ったのはカツユキだった。


カツユキも見回りには行く気のようで、すでに準備ができている。