「いくぞ、よーい、どん!」


ジュンイチが合図を送ってくれて同時に駆け出した。


しかしさっきに比べれば体は重たくて、足は全然前に出ていかない。


隣のカツユキを見ても同じように苦しげな様子で走っている。


ものの100メートルほどで息が切れ始めて立ち止まってしまった。


「なんだよ、もう能力が消えてるのか」


カツユキが倒れ込むように寝転んでつぶやく。


その声もひどく乱れていた。


たった100メートルを全力疾走しただけで、汗が吹き出している。


「どうにかドリンクを調達したいけれど無理そうだし、必要なときに必要な分だけ飲むようにしないとな」


ゆっくりと歩いてきたジュンイチが言う。


大丈夫。


ペットボトルのドリンクはまだ半分以上の残っている。


テツヤは自分にそう言い聞かせたのだった。