「だとしても、なにが踏み荒らして行ったのかわからないの。もしも山からイノシシとかが下りてきていたら危ないから生徒だけでの対応は難しいし」


飯田さんが悩んでいる理由はそこにもあるようだ。


「じゃあ、俺達はこの足跡の主がなんなのか探せばいいってことか?」


カツユキの言葉に飯田さんは頷いた。


「できれば、そうしてほしいと思ってお願いしにきたの」


でもそれは難しいことだった。


この付近の山にはイノシシもシカもサルもいると言われている。


足跡だけで犯人探しは至難の技に誓い。


ジュンイチもカツユキも黙り込んでしまっている中、テツヤひとりだけが動いた。


ポケットからスマホを取り出して証拠の足跡を撮影しはじめたのだ。


「この写真を元に検索すればすぐに犯人がわかるはずだ」


それから先は手早かった。


スマホを使い慣れているテツヤはあっという間に検索して、それが野うさぎの足跡であると判断したのだ。