「面白そう」


思わず頬が緩む。


都市伝説や七不思議といった話しは大好きで、小学生の頃には人面犬や口裂け女を探しに出かけたりもした。


学校内の怪異に出会うためにわざと放課後教室に残って、1人でこっくりさんをしたりもした。


けれどどれも失敗ばかりで、化け物たちに出会えたことは1度もなかったのだ。


だけど今回の電話についてはかなり真実味がある気がしていた。


今まで聞いてきた話は全国に似たような伝承が残っていて、具体的なことはなにもわからないままだった。


その点真実の電話は山の名前まですでにわかっている。


その山を徹底的に調べれば電話を見つけることだってできるかもしれないんだ。


そう思うとユウナの心は踊り始めた。


小学校の頃都市伝説を追いかけたときのように、もう1度追いかけてみたいと思えた。


こんな風に胸が高鳴るのは本当に久しぶりのことだった。


イジメが原因で暗く沈んだ毎日を過ごしてきたけれど、それすら明るく照らし出してくれるような気がした。


なにせ、その電話では相手の過去や本心が見えるのだ。
あの2人の過去や本心を覗き見ることができれば、どれほど楽しいだろう。


そう考えただけでユウナの頬は緩んでいくのだった。