そして念願の転校生がやってきた。


朝の会の時先生に呼ばれて教室に入ってきたその子は、背が小さくてとても細い女の子だった。


気が弱そうな顔をしていて、自分の名前を言うときもおどおどしている。


知らない場所に突然放り込まれた小動物みたいだとユキコは思った。


それでも、どれだけおとなしい子でも一ヶ月もすれば誰かと仲良くなることができる。


今までの転校生たちだってそうだった。


『どこから来たの?』


『得意科目はある?』


思っていた通り、休憩時間になると転校生の周りにはクラスメートたちが集まっていた。


転校生の名前はマヤちゃんと言い、みんなの質問にひとつひとつ丁寧に返事をしている。


真面目な子のようでクラスメートたちの名前と顔を覚えようと必死になっているのもわかった。


けれど、マヤちゃんは結局誰とも仲良くなることができないまま、一週間を迎えてしまっていた。


最初は転校生ということで珍しくて話しかけていた子たちがいなくなると、自然と1人になってしまったのだ。