それは小学校6年生の頃だった。


恐怖小学校に通っていたユキコとユリは当時からずっと仲良しだった。


『今日転校生の子が来るらしいよ』


同じ通学班だったユリが明るい声でそう言った。


『そうなんだ? 6年1組に?』


『うん。昨日先生が職員室で話してるの聞いちゃったの』


2人は下級生を連れて学校まで行く間にそんな会話をしていた。


恐怖小学校はとても大きなモンスター校で、転校生が来ることも、引っ越していく友達がいることもめずらしくはなかった。


ユキコたちも6年生になるまでに何人もの転校生を見てきたし、仲良くもなってきた。


だけど新しい友だちができるというのはやっぱり嬉しくて、学校に到着するまえの間2人の話題はずっと今日来る転校生のことでいっぱいだったのだった。