その夜、ユキコは再び縄梯子を用意して2回の窓からそっと抜け出した。


時刻は前と同じ11時で、リュックの中にはキッチンから拝借した塩と、近所の神社でもらってきた御札があった。


夕方頃あの少女が写真に写ってから、やはり廃墟からついてきてしまったのだとわかった。


廃墟に戻ってもらうためにはこれしか方法も思いつかなかった。


ユキコは1人で丘の上に登り、洋館の門の前で立ち止まった。


前回来たときも威圧感はあったけれど今回は1人きりなので肌寒さまで感じた。


月明かりに照らされた洋館はまるでドラキュラ城のようにも見える。


ユキコは勇気を振り絞って門の中へ入り、玄関先へやってきた。


でも今日は中まで入るつもりはなかった。


玄関の前でリュックを下ろし、中から小皿を2枚取り出す。


それを玄関の前左右に起き、盛り塩を作った。


それから神社でもらった御札を玄関のドアに貼る。


「これでどうにか静まってください」


ユキコは洋館へ向けて手を合わせて、キツク目を閉じたのだった。