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「ユリ、聞いてよぉ」


どうにか遅刻せずにC組に到着したユキコはさっそく教室内にユリの姿を見つけて声をかけた。


「どうしたの?」


「今朝家から出たら、あのカメラが玄関先に置いてあったの」


憤慨して言うユキコにユリはサッと青ざめた。


「それって捨てたはずのカメラが戻ってきたってこと?」


「そうだけど、でもたぶん近所の人の仕業だよ、今日が回収日じゃないからって持ってきたんだと思う」


「本当に?」


「だって、それしか考えられないじゃん」


ユキコの言葉にユリは曖昧に頷いた。


本当にそうだろうかと思っても、口には出せない。


「腹がたったから公園のゴミ箱に捨ててきちゃった」


「え、また捨てたの!?」


「うん。だって捨てようって決めたじゃん」


「そうだけど……」


うつむいたユリはそれ以上なにも言わなかったので、話題はそこで途絶えたのだった。