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その後もどうしても写真の中の少女について気になったユキコは、ユリを誘って自宅へと戻ってきていた。


学校よりも家の方が話がしやすいと考えたのだ。


「まずは廃墟の噂について整理しようか」


ユキコは丸いテーブルにオレンジジュースの入ったコップを2つ置いて言った。


「うん。暮らしていたのはヨーロッパから移り住んできた5人家族。うち4人は当時流行っていた病気で亡くなってしまった」


ユリの言葉をユキコはノートに書いていった。


「残されたのは母親1人。50代だったけれど、70代に見えるくらい老けてしまったんだよね。そしてあのリビングで自殺した」


ユリはリビングの写真を指差した。


「ここまでは別におかしなところはないよね? やっぱり家族の中に私達くらいの女の子がいたのかもしれない」


ユキコは自分で書いた文字を見つめて難しい顔をする。


「でも、やっぱりどう見ても日本人だよね……」


そこがわからないところなんだ。


写真の中の少女は日本人のようにしか見えない。


写真が暗いからそう見えるのかもしれないと思ったが、どうも納得できなかった。