受話器を上げてキミの名前を告げる。


そしてしばらく待っているとあの声が聞こえてきた。


『キミはあなたに謝りたがっている』


その言葉にユウナは眉を寄せてすぐに受話器を置いてしまった。


そのままジッと公衆電話を見つめる。


今の言葉は本当だろうか?


今までこの電話が嘘をついたことはないけれど、ユウナの中に疑念が浮かんだ。


だって今まで人をイジメてきたときには謝罪なんて1度もしてこなかった。


それが今になって謝りたいと言われても信用できるわけがなかった。


キミが自分にしてきたことが頭に浮かんでくる。


勉強やスポーツができないことをバカにされた。


教室内でも悪口を言われてクラスメートたちと一緒に笑った。


それだけじゃない。


わざとこかされたり、トイレに閉じ込められたことだってある。


思い出せば思い出すほど、今の言葉を信用することができなくなってしまった。


「嘘ばっかり」


ユウナは公衆電話へ向けてそう吐き捨てると、大股であるき出したのだった。