勉強の成果はみるみる内に現れることになった。


最初は遅れていた授業を取り戻すことで必死だったけれど、嫌なことが怒らない毎日は集中力を続けることが安易になった。


周りから干渉されないことで本来の力が存分に発揮されるみたいだ。


そして次のテスト期間が始まったとき、ユウナはたしかな手応えを感じていた。


「よく頑張ったな。この調子なら受験も大丈夫そうだな」


テスト返却のときに先生にそう声をかけられて、戻ってきた数学の答案用紙には70点と書かれていた。


ユウナは自分の取った点数が信じられなくて、穴が開くほどにその答案用紙を見つめたくらいだ。


それでも点数は変わらなかった。


前回8点しか取れなかったのにイジメがなくなってすぐにここまで点数が伸びるなんて、自分でも思っていない出来事だった。


サエの机の横を通り過ぎるとき、ユウナは一旦立ち止まった。


「サエ、テストの点数はどうだった?」


そう質問をすると、サエはすぐに解答用紙を机の中にしまい込んでしまった。


顔色もよくなくてユウナから視線をそらしている。