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それから数日間サエはまだ学校へ来ていなかった。


このまま来ないのかもしれない。


「サエって受験どうするんだろうね?」


「知らない。だって犯罪者じゃん」

「アイツ、自分の罪を隠すために優等生の仮面かぶってたんじゃねぇの?」


「近くにいたのに気が付かなかったキミもどうなんだろうなぁ」


そんな噂話は今でも聞こえてくる。


そのたびにキミは逃げるように教室から飛び出して行ったけれど、キミの後を追いかける友人は誰もいなかった。


「ねぇ、ここの問題教えてくれない?」


2人がすっかり静かになってくれたおかげで、ユウナは自分から他のクラスメートたちに話しかけることができるようになっていた。


最近ではよく勉強を教えてもらっている。


「ここはね。この数式に当てはめて考えるんだよ」


友人に教えてもらった箇所は普通に授業を受けているときよりも、ずっと頭に入ってきた。


今までこんな風に会話することもなかったから、嬉しくて余計に身が入るんだと思う。


「ありがとう。いつもすごくわかりやすく教えてくれるよね」


「そんなことないよ。ユウナちゃんもともと勉強得意なんじゃないの? すぐに覚えてるじゃん」


そう言い合ってお互いに照れたりした。