自分の声がボックスの中に反響する。


それはトンネルの中にいるときのように響いたが、やっぱり気にはならなかった。


しばらく待っていると受話器の向こうから低くくぐもり、そして歪んだ声が聞こえてきた。


『サエは万引の常習犯だ』


その言葉にユウナは息を飲んで目を見開いた。


サエが万引き犯?


それは信じられない事実だった。


いつも勉強ばかりしていて成績が優秀なサエが万引なんて……!


キミのときとは違う、本当に笑えない過去にしばらく呆然としてその場に立ち尽くしてしまった。


気がつけば受話器は元通りかけられていて、ユウナはヨロヨロとこけそうになりながらボックスの外へ出た。


すごい真実を知ってしまった。


どうすればいいんだろう。


帰りの道を歩きながら鼓動が早くなる。


この秘密をバラしたら、サエは学校にも来られなくなってしまうかもしれない。


それところか、受験に響いてくるかも。