もともとただの都市伝説だし、サイトにあった地図が本物かどうかもわからない。


不安に押しつぶされてしまいそうになりながら歩いていると、小学校の頃を思い出した。


あの頃の自分もこうして1人で都市伝説の真相を知ろうとしていた。


わざと少し遠回りをして、口裂け女を見たという場所に立ち寄ってみたり、人面犬が好きだという食べ物を持って歩きまわってみたり。


だけど結局なにもみつけることはできなかった。


妖怪も、幽霊もいない。


いるのはそんな自分を見て異質だと感じる友人や、見下してバカにしてくる友人ばかり。


今回もそうなのかもしれない。


真実の電話なんてありもしない噂を信じてここまで来てしまった自分を、誰かが見て笑っているのかもしれない。


そう考えて思わず振り向いた。


誰もいるはずはないのに。


そこに広がっているのは暗い森と木々のざわめきだけで動物一匹見当たらない。


ユウナはフッと息を吐き出して口元だけで笑ってまた歩き出した。


地図はもう見ない。


どうせ公衆電話なんてないのだから、後は山道に戻って家に帰るだけだった。


もしも本当に電話を見つけることができていれば、自分の人生は変わっていたかもしれないのに。


そう思うと悔しくて下唇を噛み締めた。