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1時間ほど森の中を歩いたとき、すでに当たりは薄暗くなり始めていた。


森の中の夜は早く訪れると聞いたことがあったけれど、本当にこんなに早いとは思っていなかった。


まだ真実の電話を見つけることはできていないユウナは焦って背中に汗が流れていく。


昼ごはんもまだ食べていないはずなのに、お腹は全然空いていなかった。


ただ早く電話を見つけたい。


そして早く帰りたい。


その一心で地図を片手に山の中を歩き回る。


時々遠くの方で狼の無き声が聞こえてきては立ち止まり、身を震わせた。


ここで狼なんかにあったら、きっと食い殺されてしまう。


その様子を想像してしまい体が芯から冷たくなっていく。


ユウナは強く頭を振ってその想像をかき消した。


少し早いけれど懐中電灯で当たりを照らしながらまた一歩を踏み出した。


きっとある。


真実の公衆電話はきっとある……!


そう信じて更に1時間ほど歩いたとき、山の中はすでに暗闇に包まれていた。


麓ではまだ真っ暗にはなっていなかったが、山の中には暗い影が落ち込んでくる。


だんだん視界が悪くなっていく中、ユウナの気持ちは更に焦り始めていた。


真実の電話なんて本当はないのかもしれない。