もともとバスの乗客は少なくて、乗っているのはユウナの他に70代くらいの女性が2人だけだった。


2人ともこれから病院へ行くようで、さっきから足が痛いとか、腰が痛いとかいう話をしている。


ユウナは一番後の席の窓際に座って流れていく景色を見つめた。


これから自分が都市伝説の真相を知るために山の中に入っていくなんて、まだ信じられない気分だ。


だけど本当に真実の電話があれば、自分もあの作品の中のサラリーマンみたいに相手に復讐することができる。


自分を笑うやつらを黙らせることができる。


そう考えてユウナは膝の上でこぶしを握りしめたのだった。