「千秋さんも、体調崩されたりしてませんか?」



「うん、大丈夫よ。

ありがとうはなびちゃん、心配してくれて」



ふわり。笑う彼女は、どこまでも優しい笑みを向けてくれる。きっとどうしようもないくらい、わたしのことを大事に思ってくれている。

その優しさに素直に甘えられるような性格だったら、どれだけ良かったんだろう。



どこまでも、千秋さんは真っ直ぐだから。

ときどき、その真っ直ぐさが怖いと思ってしまうわたしに、彼女の好意を受け取る資格なんてないんだと思う。



「……はなびちゃんは、ノアのこと好き?」



甘い声で。どこまでも女の子らしい仕草で。

首をかしげて、わたしに問い掛ける。可愛げのないわたしには、絶対にできないことばかりで。



その問い掛けが、とても怖いと思う。

わたしはノアのことが好きだ。だけど、そのせいで何度も彼に縋ってきたから。『花舞ゆ』を手放してしまう程に愛おしいと思った彼への気持ちが、膨らんで。




「すき、です」



最初とはもう変わってるんでしょう?と。

自分の中の何かに囁かれた気がしたけれど、強引に噛み砕くように肯定する。そうすれば彼女が安心したような笑みを見せるから、泣きたくなった。



「……やっぱり、はなびちゃん、うちにおいで」



「千秋さん」



「想い合ってるふたりがばらばらになっちゃだめだよ。

好きって言える時に、そばにいなきゃ」



それを言ったのが紛れもなく彼女だから、息苦しい。その意味を誰よりも理解してる人だから。

ぽろっと、涙がこぼれ落ちる。ノアの前では、何度も泣いちゃいけないと思ってた。がんばってる彼に、迷惑をかけたくなくて。でも。



「そばに、いたい、けど……っ、」