・
「……ん、」
──ぱち、と目を開けたら。
目の前に穂がいて、一瞬おどろきで漏れそうになった声を強引に呑み込む。それから「どした……?」と掛けた声が、無意識に甘ったるくなった。
甘ったるいというか、これ、は。
「つーちゃん、今日学校は?」
「あー……んーと、サボり」
昼飯を買ってきてもらって、そのあと食べたところまでは覚えてる。
だけどその後の記憶が完全に飛んでいて、どうやら知らない間に眠りに落ちていたらしい。
視線だけでまわりを探れば、ほかの3人もいる。
染が「お前どうした?」って聞いてくるから、やっぱり目ざといなと、ぼんやりする頭で思った。
「なんか、熱、あるっぽい、」
どうりで怠かったわけだ。
頭痛と怠さに続いて、今はひどく熱っぽい。声がやけに甘いのも、熱のせいで呂律がちゃんと回っていないからで。
「熱? え、つーちゃん大丈夫?」
穂の手が、額に触れる。
たぶんその平熱が心地いいって感じるのは、俺の熱が相当高いらしい。……ってか、すげえ、あつい。
「なに、雨にでも濡れたの?」
「濡れてない……けど、昨日から、だるい」
「もう目潤んできてんじゃん。
どうすんの?帰る?それともここで休む?」



