訪れたのは、『花舞ゆ』の倉庫。

いつも「ただいま」って言うのが当たり前になってんだけど、休みの日もふくめて、家から直接来た時は変な感じだ。



歴代メンバーがずっと続けてる、『俺らの居場所はここだから』っていう意味を込めた挨拶を、今も続けてるだけだけど。

そういうとこ真面目だよねえ、俺ら。



「サボり? めずらしいですね」



「そ?

俺もたまにはそういう気分の時あるけど」



人懐っこい笑みを見せる後輩の頭を撫でておく。

『花舞ゆ』の倉庫には、平日の午前からでもこうやって数人のメンバーが揃ってる。こいつは中学生だけど、正直な話、学校には行ってない。



そこに複雑な理由があったり、なかったり。

メンバーによるけど、別に俺らはそういうメンバーを責めたりしないし、むしろ大歓迎だ。そのために昔からこのチームはあるんだから。



『花舞ゆ』が地域で今も愛されてるのは、そういう部分だ。




「そういえば椿さん昨日来てなかったですよね?

芹さんが寂しがってましたよー」



「いじる対象がいなくて、だろ〜?」



「いや、それが……」



「ん?」



毎日来るって決めてるわけじゃないけど、大抵のメンバーは毎日ここに来てる。

用事がある日は事前に言ってあるし、何も言わないと俺の場合は染たちから連絡が来る。……割に、昨日はめずらしく誰からも来なかったな。



「芹さんが直接言いたいって言ってたんですけど、先に言って大丈夫ですかね……

あの……"はなびさん"のことなんですけど、」



「、」