「3歳の女の子でしょ? んー……」
わたしが幼い頃はどんな感じだったっけ、と。
記憶をたどってみるけれど、ほとんど覚えているわけもなく。仕方なく、普段使いのできる髪留めを提案してみたら、椿が賛同してくれた。
「雑貨屋さんになら、
小さい子向きのヘアピンとか売ってるし……」
「ん、いいんじゃねえ?
はなびセンスいいから、あとですみれの写真見せるし似合いそうなの一緒に選んでよ」
「……わたしのセンスを3歳の女の子が気に入るかは知らないわよ」
「大丈夫だって。俺はなびのセンス好きだもん。
時間余ったらさ、ついでに俺の服とかも選んで?」
……別にいいけど。
ノアの服ですら選んだことなんてないのに。でもノアはセンスがいいからわたしの出番なんてないし、椿だって十分すぎるくらいにおしゃれだ。
今日だって黒のスキニーに合わせた白のTシャツを着て、上からさわやかなチェック柄の長袖シャツを羽織っているけれど。
街行く人が見れば、モデルだと勘違いしてもおかしくない。
「椿、」
「ん?」
「……モデルになれば?」
「脈絡なくてびっくりだわ」
女の子を口説くの上手だから、甘いマスクの人気モデルになれると思う。というか絶対なると思う。
世のイケメン好きな女子たちが、絶対椿のことを放っておかないだろうし。
昔からそばにいるという贔屓目なしに、彼はかっこいい。
その証拠に、この間合コンで椿と会ったという桃の反応を見ればわかる。あの子はちょっとミーハーだけども。



