「おはよ、と。ただいま」



「椿さんおかえりなさい……!」



「……なんかすげえ熱烈じゃねえの」



桃ちゃんと一緒に、女子高生の夏を謳歌してくる……とか、なんとかで。

お家デートを満喫した翌日は、俺とはなびは別行動。最近一緒にいる機会が多かったけど、世の中のカップルって、毎日一緒にいるわけじゃないし。



変な男に絡まれないように、って連絡だけ入れたら、可愛らしいうさぎが「了解!」のプレートを持ったスタンプがかえってきた。

なにそれかわいい。



「穂さんが拗ねてましたよ?

『染ちゃんが記入してくれたカレンダー、今日は染ちゃん以外予定入ってないはずなのに誰もこないじゃん……!』って」



「ん? 今日穂しかいねえの?」




めずらしいな。

染は学校のことをふくめても忙しいからいないことはよくあるし、珠紀もみやちゃんと予定があるときは大抵来ないけど。



芹もいないのか、と思っていれば、「芹さんもデートらしくって」と教えてくれる。

……なるほどそれで穂だけになってんのか。



「わーっ、つーちゃん……!!」



「はいはい、落ち着け」



会話で俺が来たことに気付いたらしい穂は、すぐさま階段を駆け下りてくる。

それから「みんなひどいよね!!」と同意を求めながら、俺の腕を引いて2階へと連行した。



「連絡入れてくれたら、

もうちょい早く準備して来てやったのに」



吹き抜けからは、下のメンツの楽しげな声が聞こえてくる。

がらんとしたスペースで、空いているソファを陣取った。