すぐさま否定する彼女に、ふっと笑みをこぼす。

ここまで勢いよく返事するんだから、本当にしてないんだろう。してるって言われても困るし、俺が一方的に拗ねるだけだけど。



「べつに疑ってねえよ」



これでも今の俺は、それなりに余裕がある。

はなびから散々好きって言葉を引き出させたし、それを疑うつもりもない。ちゃんと愛されてること、わかってるから。



「はなびさん」



「……なんですか椿さん」



「ふは。……キスしていい?」



言えば嫌そうな顔をするくせに、拒まないのが何よりの証拠。

ちゅっと軽く口づけただけで離れたら物足りなさそうな顔をするのも、その証拠。




「……、スーパー行くわよ」



「そうだねえ」



見透かしているのがバレたようで拗ねたらしい彼女に気づかれないように笑みをこぼして、外に出ると同時に手をつなぐ。

すぐに指を絡めてきたはなびに、素直じゃないなと今度こそ笑ってしまった。



「……笑わないでよ」



「ごめんごめん、

俺のおひめさまはかわいいなと思って」



「……ばーか」



はなびらしくない暴言にも、まったくもって傷つかない。

本当にもう、しあわせすぎるだろ、俺。