「何もされてないから」
「……信じられない」
「お前さー、椿のこと散々ネタにしてるけどよー。
本命っていう点で考えたら、お前より椿のほうが誠実じゃね？」
「なんのことかな芹」
「こいつみやと付き合ったその日に手出してんだよ」
あっさり。ばらした芹を珠紀が睨んだけど、付き合ったその日って。
……うん、何が基準なのかもうよくわからないけど、椿のほうが誠実な気もしてきた。
というか逆にどうしたら付き合ったその日にそういうことになるの、と眉間を寄せたわたしに気付いたらしい。
「流れだよ」と開き直った珠紀が教えてくれるけど。……ちょっと待って。
「……みやちゃんと珠紀ってどっちが告白したの？」
「あれ、はなちゃん知らないの？
たまちゃんねぇ、みゃーちゃんが入学した時からずーっと目つけてたんだよねー」
「穂」
「たまちゃんの一目惚れだよー」
「……勝手なこと言わないで」
はあ、と珠紀はわざとらしくため息をついてるけど。
違う、と否定しないあたり、その話自体は本当らしい。その後もぺらぺらと話してくれた穂によれば、珠紀は何かと彼女を気にかけていたらしく。
「そりゃあ好きだった女の子に「好き」って言われたら、たまちゃんだって暴走ぐらいするよね」
