「家族旅行ね……お盆終わったのに行けるの?」



「椿のお父さん、フリーランスでお仕事してるみたいよ。

休みを自分で決められるから、調整したって」



「ああ、なるほど、ね。

……起きたらネタにしようと思ってたのに、椿帰ってるとか面白くないじゃんね」



3人が、朝ごはんを食べている最中。そう言って珠紀が見せたスマホの画面。

何かと顔を覗き込んで見れば。



「なっ、これいつ撮ったの……っ」



「朝方?

目覚めたからお手洗い借りようと思って起きたら、こうなってたから、まあ写真撮ったよね」



わたしのことを抱きしめたまま眠っている椿。

起きるまでにわたしが動いてしまったらしく朝目が覚めたときはされていなかった腕枕も健在。ということは、眠ってからそう経たない頃だ。




「しっかりイチャついて寝てんじゃねーか」



「だ、って……

芹と話してた後、寝ようと思ったけどみんなそれぞれ寝てるから、なんとなく寝る場所を確保するタイミング失ったんだもの。それで、」



まあ椿の近くにすればいいか、と。

歩み寄って髪を撫でたら彼が目を覚まして、隣においでと言ってくれたから。



「ふふ、仲良しだねー」



「椿がこんな至近距離で寝てるのに我慢できると思わないんだけど。

なに、もういい加減一線超えた?」



「……珠紀の中の椿って、相当イメージ悪いわよね」



言えば、彼はけらけらと楽しげに笑ってるけど。

椿からすればいい迷惑だと思う。いつも珠紀にいじられて困ってるし。仲良いのを知ってるからわたしも何も言わないんだけど。