大丈夫だよって笑ってる芹。

意外かもしれないけど、実は俺よりも芹のほうが酒に強い。過去に何度介抱させたか。



「でももう2時か。

これ飲んだら寝るから、お前も寝ろよ」



「うん。空いてるスペース適当に使って。

そろそろエアコン切るけど、肌寒かったらそこのタオルケット使ってくれていいわよ」



「おー」



そう会話したくせに、はなびはまだ寝る気がないらしい。

そうこうしてるうちにグラスを呷った芹は、「んじゃーおやすみ」と俺の視界から見えなくなる。



「……エアコン切らなきゃ風邪引くわね」



しばらくして。つぶやいてから立ち上がったはなびが、壁に取り付けられたホルダーに入ったリモコンのボタンを押す。

ピー、と音を立てて、エアコンの電源が切れた。




「、」



はなびがこっち側に歩み寄ってくるのが見えて、咄嗟に目を瞑る。

俺が起きていることに気づいてないらしい彼女は俺のそばで腰を下ろしたかと思うと、手を伸ばして、俺の髪を撫でてくれた。



タオルケットで隠れた口元が、ゆるんでしまいそうになる。

全員が寝静まった後に、こんな風に、俺だけ。



「ん、」



「……あら、ごめんね。起こした?」



「んーん……」



元から起きてたけど。

言わずにはなびに手を伸ばして、腕を引く。一緒に寝ようと声をかければすんなり俺の隣に寝転んだ彼女。