店を出たところで、芹と穂がそう言い始めたことだ。
珠紀も「そうする?」って言ってるし、なんだかんだ飲みたいらしい。俺ら未成年なんだけどな。そこはまあ、目を瞑ってもらって。
じゃあたまり場もどって飲むか、と。
話が纏まりかけていたとき、「ねえ」とはなびが俺の服の裾を引く。
「ん?」
「杏子、このあとも付き合わせるわけにはいかないじゃない。
遅くなるとご両親も心配されるだろうから、わたし、送ってくるわね」
「……待て待て待て。
はなびが送りに行くって、それ結局危ないじゃねえか。芹!杏子ちゃん送ってこい!」
ちょっと離れたところにいる芹を呼び出して、有無を言わせる前に見送る。
はなびも一応気を遣ってか文句を言うことはなくて。じゃあ俺らは先にたまり場に、となったところで、シイがスマホを耳に当てた。
「はい。……ん、どしたの?」
電話がかかってきたかと思うと、シイはちょいちょいとミルとマヤのふたりを手招きする。
ということは電話の相手は向こうの組織の誰かか、と。それをぼんやり見ていれば、電話を終わらせたシイは「俺らはここまででいいよ」と告げた。
「姉さんが、話あるから戻ってこいって言ってるし。
酒とかタバコとか、姉さんにバレたら一応口出しされるからね」
「そっかぁ。じゃあまた今度だねー」
「ん。じゃあね」
はなびに執着しているように見えて、こういうときは八王子もあっさりだ。
要するに「姉さん」には逆らえないんだろうけど。
「じゃあ、たまり場もどろ。
……適当に飲んでるうちに、芹ももどってくるでしょ」
「……、ねえ」



