「……なにその反応」
「え?別にはなびってちゃんと女子高生だったんだな、とか失礼なことは思ってねえよ?」
「全部口に出てるんだけど」
悪かったわね、可愛げがなくて。
ノアが大人っぽいせいでそれに釣りあわなきゃと背伸びする癖が、今も抜けない。ノアはそんなわたしを見て「かわいい」って言ってるけど、タチが悪い。
「ノア先輩に同じことされたら喜ぶくせに」
「……いや、ノアはたぶん、わたしに映画の好みとか聞かないわよ。
先に自分でチェックして、『これ一緒に行こう』ってわたしの好きそうなやつ誘ってくれる」
「あの人実は"デキる"彼氏だよな……」
椿の不服そうな声を流して、映画を決めたところで改札を抜けて電車に乗る。
電車で3駅行けば大きいショッピングモールがあるけど、そこは『花舞ゆ』メンバーもよく行くから、あえてもう少し先だ。
「……みんなに今日のことなんて誤魔化してきたの?」
「昨日のうちに、
『俺明日デートだからこない』って」
「………」
「大丈夫。
俺少なくとも月に3回はその言い訳してるから」
「ねえその発言最低だって気づいてる?」
昔から女の子に対して軽いのは知ってたけど、相も変わらず軽い。
そういえば桃と出会ったのも合コンだって言ってたし、1回揉め事でも起きて懲りればいいのに。



