ここで誤解されたら終わる!と。
慌てて弁解する俺に「何してたんだよ」とニヤニヤ聞いてくるのは芹で。
お前と杏子ちゃんが上手くいくように手助けしようとした数十分前の俺の善良な心を返してくれ。
「女性に会ってた、ね……」
「『はなびには言わないで』って、」
「椿」
「ごめん全部終わらせるために元カノと会った……!」
突然の杏子ちゃんの裏切りで色々と暴露され、真正面から鋭い声で名前を呼ばれたらもう、嘘をつくわけにもいかない。
事実を半ば叫ぶように告げれば、はなびは小さくため息を吐いた後。
「そんなことだと思った」
「、」
「わたしも今日はマヤと一緒にいたから、どうこう言える立場じゃないし。
……何も知らなかったことにするから、わたしのことも許してくれる?」
「……あれ、どさくさに紛れて自分が有利な方に持って行ってねえ?」
なんでしれっと八王子とのこと許してもらおうと思ってんの?
いや、悪いのは八王子だろうから、別にはなびのことを責めるつもりはねえけど。
「……途中で俺に連絡するとか、
できることは色々あったと思うんだけど」
それとこれとは、残念ながら別問題だ。



