「ううん。むしろ助か、」
「はなび、俺を置いていくなんてひどいね」
今度また格子のついた扉が開いたかと思えば、中に入ってきたのはなぜか八王子で。
「あれマヤじゃん」なんてシイの言葉に、「みんな揃ってたんだ」と八王子は返してるけど。
「置いていくなんて人聞きが悪い。
わたしは大事な友達からヘルプに駆けつけただけよ」
「俺とデート中だったのに?」
……は?
なんて? いまデートっつった?
「デートなんてしてない。あなたが勝手にわたしのマンションを突き止めて迎えに来てあなたに強引に連れて行かれただけ。
同意じゃないからデートじゃない。拉致誘拐」
心底嫌そうな顔をしているはなび。
それに対しても「ひどいね」と笑ってる八王子はドMなんじゃないかと思う。っていうかなにそれ。
「はなびは俺のなんだけど」
「デートじゃなくて拉致誘拐だから良いだろ?」
「よし今決めた警察に突き出す。
拉致誘拐の現行犯で警察に逮捕してもらおう」
都合が悪くなったら「デート」を言い換えてんじゃねえよ。
どっちでもいいわ。一緒に出かけてたなら俺の中では拉致誘拐だろうとデートだろうと同じだわ。
「……はなびに黙って女性に会ってた自分のことは棚に上げて、ですか」
「杏子ちゃん頼むから今このタイミングでそれ言うのやめてくれる!?
はなびごめんほんとごめん別にやましいことはないし誤解だから俺の話聞いて」



