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「あははっ、それでひとりで悶々としてんの?
椿にそんなウブなとこあったんだー?」
「……笑い事じゃねえんだよ」
「やー、でも我慢してるなんて意外。
間宮くんと別れたんだったらその後すぐにパクッといっちゃってるかと思ったのに」
「……俺って誰から見てもそんな軽いの?」
「軽いのと下半身がゆるいのは別。
椿は後者だからそこ勘違いしないで」
「……ハイ」
冷たく言われて、この人本気で俺のこと好きなんだよな?と一瞬疑う。
あと一応美人なんだからファストフード店の中で堂々と下半身がゆるいとか言うのやめて。近くの大学生っぽい男子が驚愕してるから。
「でもまあ、よかったんじゃない。
無事にはなびと付き合えることになって」
「……んー」
「あたし何だかんだ心配してたんだからね?」
元カノである先輩と会うことを決めたのは、はなびがうちに泊まった翌日のこと。
連絡すればいつでもいいと言われたから、早々に日程を決めた。ちなみに今日で世間のお盆休みが終了する中、俺らは明日1泊2日の家族旅行に行く。
がんばって時間は作っているけど、はなびも忙しいせいで、なかなかずっと一緒にいる時間が作れない。
今のところ、次のデートまで会う予定は無い。
「あれだけ俺に何回も連絡してきた割には、
結構あっさり引いてくれんだね」
すっかり冷めきったフライドポテトを口に運ぶ。
美味しいとは思うけど、冷めてからだとちょっと油っぽい気がするのはなぜなのか。



