別にお世辞でもなんでもなく、はなびはかわいい。

気にしなくていいのに、と見つめたのが恥ずかしかったらしく、はなびは俺の肩に顔をうずめるようにして抱きついてきた。なにそれかわいい。



「ぎゅー、して……」



「……甘えモードですか」



「うん……甘えたいの……」



あーもうかわいい。ほんとにかわいい。

ぎゅっと抱きしめて、そのままイチャイチャする。目が合えばどちらともなくキスして、上に乗った彼女の髪を梳きながら、視線を合わせてふっと笑い合って、またキスを交わして。



「ん、ちょっと……くすぐったい」



何もする気はないけど服の裾を軽く捲って指で撫でると、くすぐったそうに身をよじるはなび。

脇腹の方が弱くて、笑いを堪えてるらしい。




「かわい」



「かわい、じゃない、もう……」



「意外とくすぐったいの苦手?」



「意外って何……」



拗ねたように呟いたはなびが、仕返しと言わんばかりにくすぐってくる。

別に俺はそこまで弱くないけど、朝からこんなくだらないことをして笑い合ってる時間がなんとなく楽しくて、自然に笑みが漏れた。



「おふたりさん、楽しそうなところ悪いんだけど。

朝ごはんそろそろ出来るから、起きておいで」



ぴた、と。はなびの動きが止まって。

それからハッと我に返ったように「あっ、おはようございます……っ」と父さんに告げた彼女は、慌てて俺の上から退く。