まぶたを持ち上げれば、満面の笑みで「おはよー」と笑う妹。

彼女とは反対の方向に重みを感じてちらりとそっちを見れば、はなびが少しだけ俺に乗りかかるようにしてぐっすりと眠っていた。



「おはよ、すみれ……」



……はなびがまだ寝てんの、めずらしいな。

前に俺が泊まった時は朝飯まで作ってくれてたのに。やっぱり自宅じゃない分、慣れないし落ち着かなかったのか。



「はなびちゃんも、」



「ああ……いいよ、すみれ。

はなびまだ疲れて寝てるし、せっかくだから起きるまでゆっくりさせてやって」



今日は特に何も予定は決めてないし。

「あとで行くって伝えて」と下へおりていくすみれに伝言して、深い眠りにいる彼女を見やる。



……そういえば。

こんなふうにじっとはなびの寝顔を見るのははじめてな気がする。




「ん、」



小さく身じろぎする彼女。

かわいいなと寝顔を見つめて、頭を撫でていれば。



「ん……? 朝……?」



その感触で目が覚めたのか、はなびが顔を上げる。

ぱちぱちと瞬きしてから寄せた眉間を(なら)した彼女は、「おはよう」と小さく口にして、腕で顔の下半分を隠した。



「……はなびさん何で微妙に顔隠してんの」



「寝起きだと絶対顔が浮腫んでるから嫌なの」



「……朝イチでもかわいいのに」