「ん……、」



「、」



──もぞもぞと、腕の中で動く気配をうっすらと感じる。

夢と現実のわずかな隙間でぽんぽんと頭を撫でて引き寄せれば、腕の中のそれは大人しくなった。



「いい子だから、お利口に寝てな……」



囁くように告げて、身を寄せる。

それから抱き寄せた彼女の髪に、顔をうずめて。



「……、ん?」



何かがおかしいことに気がついた。




「………」



「………」



まぶたを持ち上げれば絡む視線。

俺をじっと見据えるのはまだ幼い俺の妹……ではなく。



「ご、めん、はなび……

俺いま完全にすみれと勘違いしてた……」



「……いや、謝らなくてもいいけど」



「や、うん……俺が普通に恥ずい」



寝ぼけて3歳児と彼女を間違えるとか何事だよマジで。

っていうか今何時。まだ暗いんだけど。