「髪乾かさなきゃ、風邪ひいちゃうわよ」
抱きしめるだけですごく満たされる気分になる。
想いの繋がらない相手とお互いを求めるより、想いの繋がる相手と抱きしめ合ってる方がよっぽどしあわせだ。
それを教えてくれたのは、はなびで。
俺に抱きしめられたままくすっと笑って、タオルでわしゃわしゃと髪を拭ってくれる。
「はなび」
「……うん?」
「……俺がはなびに好きだって打ち明けた時のこと覚えてる?」
はなびが俺の学校に来てくれて。
そのあとの放課後デート中に。俺だって好きな子と手をつなぐ時ぐらい、緊張する、と。まるで告白には向かないカミングアウトをしたけれど。
「うん、覚えてる」
「……好きだよ」
「、」
「付き合うときに、言ったけど。
……でも、ぜったい今のほうが好きだよ」
ふわりと笑ってくれる彼女。この間一緒に見た花火みたいに明るくて、今日ふたりでやった線香花火みたいに静かで儚くて。
名前に、よく似合う。何より笑った表情は、花が咲くみたいに綺麗だ。
「……わたしも、好き」
お互いに、燻ってる。
付き合ってから、今ほど想いの通じ合ってる瞬間なんてない。



