両親の話を聞いてはなびに視線を向ければ、「椿お風呂はいってくるでしょ?」と首をかしげる彼女。
風呂上がりの彼女はショートパンツに、半袖の夏用カーディガン。中に着てるのはキャミソールだけど、まあ、目に毒ってほどではないか。
「ん。ケーキ食うなら食ってていいし。
明日にするなら、先に俺の部屋入ってていいから」
「うん、」
「じゃあ俺先に風呂入ってくるわ」
そう声をかけて、一度部屋に着替えを取りに行く。
ちらっとすみれの部屋を覗いたら、まだ21時前なのにぐっすり眠っていた。……偉いな。
「はなびちゃん、すごくモテるでしょ?」
リビングに戻れば、はなびが母さんにそう聞かれていて。
「そんなことないです」って笑ってるけど、いや、モテてんじゃん。謙遜するまでもねえじゃん。
「椿のどこを好きになってくれたの?」
「、」
ドア越しに、聞こえてくる会話。
俺がまだ脱衣場にいることを知ってるから、答えてくれないだろうけど。そういえば聞いたことのなかったそれに、思わず動きを止める。
「……ちょっと前まで、
本当はわたし、別の人と付き合ってて、」
「あら、そうなの?」
「すごく、好きだったんです。
でも……どこかで、その人とは上手くいかないって、思ってたところがあって」
『千秋さんが、ノアのこと好きになってて……
ノアがわたしに悪いって思いながらも、千秋さんのその気持ちを拒みきれないこと、ずっと知ってた』



