「……椿? ねえ、椿、聞いてる?」
「え? あ、ごめん。
……はなび、いつお風呂上がったの?」
「……リビング数分うろうろしてたけど、
本当に気づいてなかったの?」
大丈夫?と顔を覗き込んでくるはなび。
本気で心配してくれてるんだろう。その声色が昔と変わらなくて、自然に口角が上がってしまう。
「大丈夫。……すみれは?」
「……、聞いてなかったのね」
「……ごめん」
あのあと、人通りがないのをいいことにキスを続けていたら。
扉の開いた音がして、「はなびちゃんおふろはいろー」と家に入ったはずのすみれが出てきた。
とっさにお互い離れたからすみれは気づいてなかったけど。
残りの線香花火をその場で終わらせ、後片付けやっとくから、とはなびを家に入らせて。俺が家の中にもどった頃にはふたりはお風呂中。
それを待つ間に、お風呂から聞こえてくるすみれの楽しげな声を聞きつつ、コーヒーを飲んでたんだけど。
いつの間にか考え事に陥り、ぼーっとしてたらしい。
「すみれなら、部屋に行ったよ椿」
「え、俺の部屋?」
「……もう。ほんとにはなびちゃんの話聞いてなかったの?
今日はずっとすみれに構ってあげてたから、最後ぐらい椿と一緒にいたいってわざわざすみれのこと説得してくれたのに」
「渋々だったけど、納得して自分の部屋行ったよ。
ケーキは明日食べるんだって」



