最低って言われた回数なんて、もう覚えてない。
だけど最低って言う相手の方が、お互い遊びで同意の関係だったのに勝手に恋情を募らせてきてるわけだし、契約違反はそっちだろ。
「っ、ねえ、また間宮くんへの嫉妬……?」
「何が?」
「だって、今日……っ、」
激しい、と。
続くはずだった言葉は彼女自身の甘い声に掻き消されて、俺には届かない。はなびを好きでいいから遊んで?って言葉に乗せられたのは、俺だけど。
「先輩。……キスしてあげるからさ。
かわいい声以外は、俺に聞かせなくていいよ」
どいつもこいつも、はなびはなびってうるさい。
俺がはなびを好きなの知ってんだろ。じゃあ俺がノア先輩に嫉妬することぐらい考えなくてもわかるじゃん。なんで俺にいちいち言うの?
「……だっる」
あとで色々聞かれても、面倒だから。
いつも潰して、意識を飛ばした彼女だけを置いて帰る。両親がその場に帰ってきたらどうするんだろうとか思ったことはあるけど、どうでもいい。
彼女が住んでるマンションはオートロック式で、すっかり熱の冷めた身体に制服を着なおして、家を出る。
向かう先はほぼ毎回、『花舞ゆ』のたまり場。
「ただいま」
「椿お前またこんな時間に来る!
どうせ女の子と遊んでたんだろ!? そうだろ!?」
「……うるさいんですけど」
「はなびコイツどう思う!?
俺にいきなりうるさいとか言ってくるんだけど!」



