『ノアくんからそれを聞いてなかったら、
反対してたかもしれないけど……』
「……付き合っててもいいの?」
『だってはなちゃん頑固なんだもの。
ママがいくら反対してもその男の子と別れてくれないんでしょ?ほんと、誰に似てそんなに頑固になっちゃったのかしらね』
『間違いなくお前だよ彩夏』
電話の向こうから聞こえてきたのはお父さんのもの。
『あらおかえりなさい』とお母さんが言っているから、いま帰宅したらしい。……仕事忙しいのかな。
『壱方社長との飲みはどうだったの?』
……あ、別に仕事してた訳じゃないのね。
飲みに行ってたのか。ああでも社長って言ってるし仕事上でそういうのも大事なんだろうな、とふたりの会話を電話越しに聞く。
『面白かったよ、若手の頃から敏腕って言われてきただけのことはある。
……それより彩夏、どさくさに紛れていま話題を逸らしたな?』
『あら、何のことかしら?』
『お前が頑固だって話だよ。
まったく。受け継ぐのは美人さと一途さだけでよかったのにな。余計なところまではなびは受け継いだらしい』
『あたしが美人って? どうもありがとう』
……仲良しね。
ふたりともわたしと電話してる事忘れてない?
『ああ、そうだはなび。
遅くなったがこの間誕生日プレゼントをそっちに送ったから、そろそろ届くと思うぞ』
「えっ、わざわざ送ってくれたの!?
忙しいんだから気にしなくていいのに……!」



