はなびの全部が可愛すぎる。
自慢したいぐらい可愛いけど、ひとりじめしたいのも事実で。「努力する」って言った俺に訝しげな視線を向けた彼女は、それ以上何も言わなかった。
「……あ、誰もいない」
「よかったな、貸切」
「ふふ……うん。
ねえ、ちょっと明るいうちに写真撮ろう?」
ぎゅうっと腕に絡みついてくる彼女。
……まじで、付き合ってからスキンシップ激しいんだけど。こんなもんなの?とはなびを見れば、どうやらノア先輩の時もそうだったらしい。
ただ2年も付き合えば、色々慣れてしまって。
可愛げ、というものがあまりなかったみたいだけど。
……こんなに可愛く甘えてくれるなら、誰だって惚れると思う。まじで。
彼氏の特権だな、と思いながら抱きしめてキスを落として。撮った写真は「スマホの壁紙にする」と早速設定を弄ってるし。
「……案外恋人っぽいことするの好きだな」
「付き合って何日、とかも、結構気にしちゃうタイプ」
「大丈夫、俺記念日とか忘れないから」
デートいっぱいしようなって言ったら、嬉しそうな顔をしてくれるし。
はなびなら恋愛もサバサバしてるだろう、みたいなイメージは完全に崩れて。公園のベンチで身を寄せてくるはなびが、たまらなくかわいい。
「はなび、こっち向いて」
そろそろ薄暗くなってきて花火も上がる頃。
髪を崩さないようにそっと手を添えて引き寄せ、口づけようとしたら。
「無事に結ばれたみたいでよかったね」



